ギャッベには様々な個性・特徴があります.
このページではギャッベの魅力を語る上では欠かせない、織りについてご紹介したいと思います。
結びについて
遊牧生活は平地での暮らしとは違い椅子や机をいつも簡単に用意できるわけではありません。
そのためギャッベは他の絨毯を織るのとは事情が異なり、平らな地面の上で水平器に座り織っていきます。
まずは織機に張られた経糸に緯糸をジグザグに通します。
次に経糸に一目一目糸を結び、その先を切って紋様を織りだしていきます。
これら一連の作業を何度も何度も繰り返し、ようやく一枚のギャッベは完成します。
1枚のギャッベが完成までには数か月、サイズによっては1年以上もかかるといわれています。
ここからも、いかにギャッベが手のかかる絨毯であるかが伺えますね。
結び方は主に2種類
①トルコ結び
トルコ結びはイラン北西部によく見られその名の通りトルコ系民族が用いる織り方です。
2本の経糸にパイル糸を巻きつけ、それをグルっと回して経糸の間からパイル糸を手前へ引き出す縫い方です。
直線や鋭角な柄を表現するのに向いています。
②ペルシャ結び
ペルシャ結びとは、パイル糸を経糸1本にだけくぐらせて、それをもう1本の経糸に引っ掛ける縫い方です。
ペルシャ結びは細かく複雑な文様を表現するのに適しています。
ギャッベ 織りの種類
アマレ
アマレは10cm×10cmあたり35~40程度の結び目が織り込まれています。
元々「アマレ」とは、イランの遊牧民カシュガイ族の中のさらに細かい一つの部族の名称です。
彼女たちが織り成すギャッベは、色使いと図柄がとてもユニーク!
それが評判を呼び、いつしか「アマレの人々が織ったギャッベ」=「アマレ」という織りの名前を表すようになりました。
ギャッベとしては最もスタンダードなランクに該当します。
カシュクリ
カシュクリは10cm×10cmあたり30~40程度の結び目が織り込まれています。
こちらもアマレと同じく、カシュクリという部族が織ることがその名前に由来しています。
アマレが鮮やかな色使いとユニークな図柄が特徴的なのに対して、カシュクリは落ち着いた風景模様などが得意とされています。
そのためカシュクリのギャッベは壁に飾るタペストリーとしても重宝されます。
カシュガイ族の中でも最高の織り手と
されています。
ルリバフ
最後にご紹介するのは
カシュクリよりもさらに織りが細かく最高級に位置するルリバフです。
これは10cm×10cmあたり40~45程度の結び目があります。ここまでくるとギャッベの語源でもあるrough(粗い)という印象は全く感じさせません。
ルリ族は他の部族とは異なり紀元前からイランのザクロス山脈で放牧生活を送っていました。
そのため彼女たちの織ったルリバフは、織りの細かさもデザイン性も非常にレベルが高く、古くから交易品として使われていたほどです。
ルリバフの幾何学模様やアマレやカシュクリ以上の光沢感を見ればそれも納得のいくところです。
余談ですが、ルリ族の人々は自立心が強く自由奔放な性格をしているようです(笑)
奥が深いギャッベ結びの世界
駆け足ですがギャッベの結びと織りについて簡単にまとめてみました。
結びと織りはギャッベの品質を計る上で非常に重要な指標であり、同時にギャッベの魅力にも直結するとても奥が深い部分でもあります。
これを機に、ぜひギャッベの素晴らしい世界に興味を持って頂ければ幸いです。