ギャッベとは

イランの遊牧民が織った手織り絨毯「ギャッベ」。

近年は日本でもメディアで取り上げられる機会が増え、日に日にその人気は増しています。そこで、このページではギャッベとは何なのか?その歴史や魅力、製法などについて分かりやすく解説します。

そもそもギャッベとは ~その起源~

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ギャッベ(Gabbeh)とは、ペルシャ語で粗い(rough)という言葉を意味する毛足の長い絨毯のことです。

イランの西部(ザクロス山脈)から南部(ファーリス州の高原)にかけて生活している遊牧民、カシュガイ族の人々が日常生活のために織り始めたのが起源です。

ふかふかでラフに織られたギャッベはとても丈夫な上に暖かいため、山岳地や砂漠など過酷な環境を旅する遊牧民にとっては欠かせない生活必需品。

敷物や夜具としてはもちろんのこと、時には寒い夜にロバや鶏など家畜を寒さから守るカバーとして使用することもあり、とても機能的に作られています。

世界に広がったギャッベ

そんなギャッベが世界に広まるキッカケになったのは今から約60年前。

その当時イランでは緻密さを限界まで求めたペルシャ絨毯が全盛期を迎えており、山岳地帯の遊牧民が織ったギャッベには誰も目もくれませんでした。

その状況を一変させたのが、絨毯商のゴラムレザ・ゾランヴァリ氏でした。

ゴラムレザ・ゾランヴァリ氏、およびゾランバリ社については下記の記事で詳しくまとめたのでそちらをご参照下さい。

デザイン、機能性にも優れていたギャッベ

ギャッベが世界中に普及した最大の要因はゾランヴァリ氏によるところが大きいですが、もちろんそれだけではありません。

ギャッベは「機能性」「デザイン」という面で見ても絨毯として非常に優れていました。

厳しい大自然の中で遊牧民が使うことを想定して織られているため、とにかく頑丈。安い市販品の絨毯だと5年~10年で駄目になってしまうものもありますが、ギャッベは極めて堅牢に織られているため10年はおろか、50年、100年も持ちます。

そしてデザイン性にも優れています。

”オールド・ギャッベ”と呼ばれる古くからある伝統的な絵柄だけに留まらず、現在では”モダン・ギャッベ”と呼ばれるデザインも織られるようになりました。

これはギャッベの中では一般的な住宅にも合わせやすいデザインで、人々のギャッベに対する取っつきにくさや敷居の高さを取り払うことに貢献しました。

 

大自然の中で暮らす遊牧民の感性で織られたデザインは世界中の注目を集め、20世紀に入ってからはヨーロッパや日本でも人気が高まり、敷物や壁掛などインテリアとしての需要も高まり現在に至ります。

ギャッベの制作行程

手織り絨毯のギャッベは、羊を育てることから始まります。雨季に育った草木を食べて育った羊たちの良質な冬毛を刈り、手で紡いで糸にします。

それを天然の草木染料でじっくり時間をかけて染め上げていきます。

その後、染色した糸を数ヶ月かけて織子さんが織り上げて1枚の絨毯が織りあがります。

ギャッベが世界的に流通して以降は、そこからの細かい仕上げ工程も入念にされるようになり、ギャッベは完成します。

ユネスコの無形文化遺産に

イランでは近年政府による定住政策が進み、ギャッベを織る遊牧民(カシュガイ族)の人々の数も年々減少傾向にあります。

これを受けて2012年、ユネスコは彼らの優れた技術を後世に残すために、ギャッベの手織り技術をユネスコ無形文化遺産に登録しました。

奥深いギャッベの世界へ

ギャッベは1枚織るのに数か月かかることもザラで、仕上げ処理やイランから日本までの輸送費を考えると他の絨毯と比べて割高です。

しかしそれを差し引いてもこの絨毯には人を惹きつける不思議な魅力があり、ファンになる方は後を絶ちません。

一見単純なようで実は奥が深いギャッベの世界、あなたも覗いてみませんか?

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